Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
がらすどのうち
硝子戸の中
Lesen Sie 硝子戸の中 (がらすどのうち) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.702 Zeichen · 105 Bildschirme
実をいうと私は辟易した。
一週間おいて女は再び来た。そうして私の作物をまた賞めてくれた。けれども私の心はむしろそういう話題を避けたがっていた。三度目に来た時、女は何かに感激したものと見えて、袂から手帛を出して、しきりに涙を拭った。そうして私に自分のこれまで経過して来た悲しい歴史を書いてくれないかと頼んだ。しかしその話を聴かない私には何という返事も与えられなかった。私は女に向って、よし書くにしたところで迷惑を感ずる人が出て来はしないかと訊いて見た。女は存外判然した口調で、実名さえ出さなければ構わないと答えた。それで私はとにかく彼女の経歴を聴くために、とくに時間を拵えた。
するとその日になって、女は私に会いたいという別の女の人を連れて来て、例の話はこの次に延ばして貰いたいと云った。私には固より彼女の違約を責める気はなかった。二人を相手に世間話をして別れた。
彼女が最後に私の書斎に坐ったのはその次の日の晩であった。彼女は自分の前に置かれた桐の手焙の灰を、真鍮の火箸で突ッつきながら、悲しい身の上話を始める前、黙っている私にこう云った。
「この間は昂奮して私の事を書いていただきたいように申し上げましたが、それは止めに致します。