Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

がらすどのうち

硝子戸の中

夏目 漱石

Lesen Sie 硝子戸の中 (がらすどのうち) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.702 Zeichen · 105 Bildschirme

Aozora Bunko

――

「もし先生が小説を御書きになる場合には、その女の始末をどうなさいますか」

私は返答に窮した。

「女の死ぬ方がいいと御思いになりますか、それとも生きているように御書きになりますか」

私はどちらにでも書けると答えて、暗に女の気色をうかがった。女はもっと判然した挨拶を私から要求するように見えた。私は仕方なしにこう答えた。――

「生きるという事を人間の中心点として考えれば、そのままにしていて差支ないでしょう。しかし美くしいものや気高いものを一義において人間を評価すれば、問題が違って来るかも知れません」

「先生はどちらを御択びになりますか」

私はまた躊躇した。黙って女のいう事を聞いているよりほかに仕方がなかった。

「私は今持っているこの美しい心持が、時間というもののためにだんだん薄れて行くのが怖くってたまらないのです。この記憶が消えてしまって、ただ漫然と魂の抜殻のように生きている未来を想像すると、それが苦痛で苦痛で恐ろしくってたまらないのです」

私は女が今広い世間の中にたった一人立って、一寸も身動きのできない位置にいる事を知っていた。そうしてそれが私の力でどうする訳にも行かないほどに、せっぱつまった境遇である事も知っていた。