Japanische Klassiker mit Furigana
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がらすどのうち
硝子戸の中
Lesen Sie 硝子戸の中 (がらすどのうち) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.702 Zeichen · 105 Bildschirme
去年私の病気をする少し前に、彼は突然皮膚病に罹った。顔から額へかけて、毛がだんだん抜けて来る。それをしきりに爪で掻くものだから、瘡葢がぼろぼろ落ちて、痕が赤裸になる。私はある日食事中この見苦しい様子を眺めて厭な顔をした。
「ああ瘡葢を零して、もし小供にでも伝染するといけないから、病院へ連れて行って早く療治をしてやるがいい」
私は家のものにこういったが、腹の中では、ことによると病気が病気だから全治しまいとも思った。昔し私の知っている西洋人が、ある伯爵から好い犬を貰って可愛がっていたところ、いつかこんな皮膚病に悩まされ出したので、気の毒だからと云って、医者に頼んで殺して貰った事を、私はよく覚えていたのである。
「クロロフォームか何かで殺してやった方が、かえって苦痛がなくって仕合せだろう」
私は三四度同じ言葉を繰り返して見たが、猫がまだ私の思う通りにならないうちに、自分の方が病気でどっと寝てしまった。その間私はついに彼を見る機会をもたなかった。自分の苦痛が直接自分を支配するせいか、彼の病気を考える余裕さえ出なかった。
十月に入って、私はようやく起きた。そうして例のごとく黒い彼を見た。