Japanische Klassiker mit Furigana
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がらすどのうち
硝子戸の中
Lesen Sie 硝子戸の中 (がらすどのうち) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.702 Zeichen · 105 Bildschirme
そうして一方では狡猾い私を怒ると共に、一方では二十五銭で売った先方を怒った。どうしてこの二つの怒りを同時に和らげたものだろう。私は苦い顔をしてしばらく黙っていた。
私のこの心理状態は、今の私が小供の時の自分を回顧して解剖するのだから、比較的明瞭に描き出されるようなものの、その場合の私にはほとんど解らなかった。私さえただ苦い顔をしたという結果だけしか自覚し得なかったのだから、相手の喜いちゃんには無論それ以上解るはずがなかった。括弧の中でいうべき事かも知れないが、年齢を取った今日でも、私にはよくこんな現象が起ってくる。それでよく他から誤解される。
喜いちゃんは私の顔を見て、「二十五銭では本当に安過ぎるんだとさ」と云った。
私はいきなり机の上に載せておいた書物を取って、喜いちゃんの前に突き出した。
「じゃ返そう」
「どうも失敬した。何しろ安公の持ってるものでないんだから仕方がない。阿爺の宅に昔からあったやつを、そっと売って小遣にしようって云うんだからね」
私はぷりぷりして何とも答えなかった。喜いちゃんは袂から二十五銭出して私の前へ置きかけたが、私はそれに手を触れようともしなかった。