Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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がらすどのうち

硝子戸の中

夏目 漱石

Lesen Sie 硝子戸の中 (がらすどのうち) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.702 Zeichen · 105 Bildschirme

Aozora Bunko

というから、「ああやった」と答えると、その男が「何でも解らなかったようですよ」と教えてくれた。

それまで自分の云った事について、その方面の掛念をまるでもっていなかった私は、彼の言葉を聞くとひとしく、意外の感に打たれた。

「君はどうしてそんな事を知ってるの」

この疑問に対する彼の説明は簡単であった。親戚だか知人だか知らないが、何しろ彼に関係のある或家の青年が、その学校に通っていて、当日私の講演を聴いた結果を、何だか解らないという言葉で彼に告げたのである。

「いったいどんな事を講演なすったのですか」

私は席上で、彼のためにまたその講演の梗を繰り返した。

「別にむずかしいとも思えない事だろう君。どうしてそれが解らないかしら」

「解らないでしょう。どうせ解りゃしません」

私には断乎たるこの返事がいかにも不思議に聞こえた。しかしそれよりもなお強く私の胸を打ったのは、止せばよかったという後悔の念であった。自白すると、私はこの学校から何度となく講演を依頼されて、何度となく断ったのである。だからそれを最後に引き受けた時の私の腹には、どうかしてそこに集まる聴衆に、相当の利益を与えたいという希望があった。