Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
ぬ、構えて秀次ほどの者に此の上の耻を掻かすなよ、最期の時が参ったら必ず知らせてくれるがよい、尋常に腹を切るであろうぞと云えば、右衛門尉は慰め顔に、いかでお腹を召される迄のことがござりましょう、一旦斯様に仰せられましても、後日御自筆の御書を捧げられ、御心底を仰せ上げられましたら、そのうちには御機嫌も直り、讒言の輩を御成敗なさるでござりましょうと、よう/\に申し宥めて、武士共に輿の前後を取り巻かせ、伏見の城を外に見て大和街道を進んだが、その夜は玉水の旅館に一泊、いぶせき藁屋の軒場も荒れた宿の風情に昨日までの栄華を思い、終夜うと/\といさよう月を枕にして、
思ひきや雲井の秋の空ならで
竹あむ窓の月を見んとはめつけ
その時までは忍び/\に附き従う者共、馬上二三百騎はあったが、石田治部少輔の目付の武士が主人に斯くと知らせたので、それは餘り多過ぎる、お供の人数は馬上二十騎、歩士十人召し連れられて可レ然と云う注意があり、翌九日の日からは武藤左京、生田右京、篠部淡路守、津田雅楽助、山岡主計頭、前田主水正、不破萬作、雑賀虎、山田三十郎、山本主殿助、志水善三郎、外に隆西堂が淋しく従い、奈良坂を過ぎて般若寺のあたりに暫く輿をとゞめつゝ、遥かに春日明神の森を伏し拝んだ。