Japanische Klassiker mit Furigana
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ききがきしょう
聞書抄
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 聞書抄 (ききがきしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.821 Zeichen · 210 Bildschirme
者どもがひもじいと云って泣くのを見ては、どんなに辛い悲しい思いをすることかと、さま/″\に掻き口説きますので、いや、私だって御前たちを疎んじるのではないが、前世の因果が報いて来たのか、今度こそはと見込みをつけて懸かる仕事がみんな外れてしまうものだから、何がな目ぼしい獲物はないかと此のあいだじゅうから外を漁って歩いたゝめに、つい家を留守にしてしまったのだ、それでもお前たちの顔を見たいと思えばこそこうして戻って来たではないか、何もやきもきすることはない、安心して待っているがよい、きょうあすにも必ず吉左右を聞かしてやるからと、そう云って妻をなだめて、心のうちでは、今宵はどんなことがあっても逃すものかと覚悟をきめながら、日の暮れるのを待っていました。すると、やがて寺々の鐘が鳴り、たそがれごろになりましたので、いつもの車と太刀を持って出て、とある古い築地のかげに身をひそめ、いかなる張良韓信が来ようともたゞ一と討ちと手に汗を握ってうかゞっていますと、程なくそこへ塵取(註、屋根のなき輿の一種也)が一梃通りかゝって、若い者たちが、がや/\しゃべりながら来ましたけれども、そんなものは仕様がないのでやり過しました。