Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
「いや、先生がおっしゃった。もうすこしで泣くところだったとおっしゃった。うそをついてもだめだよ」
と照彦様はすっかり本気にしていた。
正三君はあまり強がると芝居を感づかれると思ったから、時々、
「ああああ」
とためいきをついた。それに応じて照彦様も、
「ああああ」
とやる。ただしそれはほんとうの嘆息だ。
「ああああ」
「ああああ。痛い! つばをのむと痛い」
「僕もすこし痛いです」
と正三君は起きなおった。
「それみろ」
「うがいをしましょう」
「うむ、わすれていた」
と照彦様もうがいをする。
「若様、すこしお休みしましょう。寝てしまえば痛いのをわすれます」
「よわい奴だ」
「僕は口をきくと痛いんです。もう寝ます」
と正三君はそのまま目をとじている中に夢心地になった。照彦様も夕方まで眠った。
晩は牛乳と重湯だけだった。傷にさわるといけないから形のあるものはたべられない。正三君はまたありがたくないお相伴をした。やりきれないと思ったが、そこを辛抱するのが忠義というものだ。照彦様はもう痛みがとれたので上元気になっていた。
「内藤君、僕はもうなんともない」
「僕は唾をのむとまだすこし痛いんです」