Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
ましてこの夜話のような物語は、男女の席で朗読されたり暗誦されたりするものではないのである」
要はこの注の附いている「バグダッドの三人の貴婦人と門番の話」と云うのを直ぐ読みかけたが、ものの五六行も進んだ時分に茶の間の方から足音が聞えて、そこへ高夏が這入って来た。
「君、アラビアン・ナイトは後にしないか」
「どうしたんだい?」
と云いながら、要はソファから起きようともせず、残り惜しそうに開いたままの本を脚の上に伏せた。
「意外なことを聞いて来たんだよ」
「意外なことって?………」
二三分間、黙って高夏はテーブルのまわりを往ったり来たりした。葉巻の煙が、その歩いたあとに霞のようなすじを曳いた。
「美佐子さんには何も将来の保証がないんだそうじゃないか」
「将来の保証が?………」
「君も呑気だが、美佐子さんも呑気過ぎる。………」
「何だよ一体? 藪から棒でちょっと分りかねるんだが、………」
「阿曽との間に、いつまでも愛情が変らないと云う約束はしてない。阿曽は恋愛と云うものは飽きる時も有り得るんだから、将来のことは約束出来ないと云っているし、美佐子さんもそれを承知だと云うんだ」
「ふうむ、………そう云うことを云いそうな男ではあるんだがね。