Japanische Klassiker mit Furigana
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たでくうむし
蓼喰う虫
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme
荷物ガ沢山持チキレナイホドアリマス、犬ヲツレテイタラ電報ヲ打ツカラ誰カ船マデ受ケ取リニ来テ下サイ。
大概二十六日ノ上海丸ノ予定デス。
高夏秀夫
斯波弘様
その二十六日の午頃、父につれられて出迎えに行った弘は、船の廊下を尋ね廻っていち早く船室を捜しあてると、
「小父さん、犬は?」
と、真っ先にきいた。
「犬か、―――犬は彼方に置いてあるよ」
白っぽいホームスパンの上衣の下に鼠のスウェーターを見せて、同じ鼠のフランネルのパンツを穿いた高夏は、狭い室内で彼方此方荷まとめをするあいだも絶えず葉巻を手から口へ、口から手へと持ち変えながら、そのために一層気ぜわしそうに働いていた。
「大分荷物が多いじゃないか、今度は幾日ぐらい居るんだ」
「今度は少し東京に用があるんだ、君ん所にも五六日はいるつもりだが」
「これは何だ」
「それは酒だ。―――非常に古い紹興酒だと云うんだが、欲しければ一と瓶分けてもいい」
「その辺にある細かい物を寄越したらどうだい、じいやが下で待っているから、あれを呼んで持たしてやろう」
「犬は、お父さん? 犬はどうするの?」
と、弘が云った。
「―――じいやは犬を連れて行くんですよ、お父さん」