Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たでくうむし

蓼喰う虫

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 蓼喰う虫 (たでくうむし) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.066 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

夫は片手で茶碗を空にささげながら、膝の上にある本を見い見い茶をすすった。

「奥様、お風呂が沸いていますぜ」

と、高夏が云った。

「此処の家じゃあ、奥様は一向あいそがないが、女中の方は感心だ、吾輩のために朝早くから風呂を焚きつけてくれるんだから。僕の這入った跡でもよけりゃあ這入ってらっしゃい」

「這入って来たのよ、今、―――あなたの跡だと知らなかったもんだから」

「へえ、それにしちゃあ早かったな」

「大丈夫? 高夏さん?―――」

「何が?」

「あなたの跡でも支那の病気がうつらないこと?」

「冗談でしょう、そりゃあ僕よりか斯波君の方だ」

「僕のは内地仕込みだからな、君の奴ほど危険じゃあないよ」

「お母さん、お母さん」

と、庭で弘の呼ぶ声がした。

「リンディーを見にいらっしゃいよ」

「見るのはいいけど、今朝はお前と犬のお蔭で眼がさめちゃったのよ、お母さんは。―――朝っぱらから、高夏さんまで一緒になって大きな声で怒鳴るんだもの」

「僕はこう見えてもビジネスマンだからね。上海にいると朝は五時に起きて、オフィスへ出るまでに北四川路から江湾の方までギャロップして来るんだよ」

「今でも馬をやっているのかい?」