Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
「そんな気楽な話じゃありませんよ」
「まアまアどうぞ。わけはあとでゆっくり聴くとして八五郎親分もどうぞ。女世帯で気味が悪いでしょうが、白粉臭いようなことはありません」
女のいうのをでっかい掌で払い退けるように、
「それじゃ俺は帰えるぞ」
八五郎は背を見せました。
「あれさ、親分、――女世帯でもお酒くらいはありますよ。せっかく私の妹分のお銀さんを送って来てくれたんだもの、門口から帰しちゃ済まないじゃありませんか」
主人の女は下駄を突っかけてバタバタと外へ出ると、後ろから八五郎の袖を引くのです。プーンと何やら夜風に匂って、東海道赤坂の宿といった気分になります。
「姉さん、八五郎親分を留めて下さいな。散々お世話になったんだから」
家からは、もう中へ入ったらしいお銀の鼻声が聴えます。
「離しゃしないよ、雷が鳴っても。ね、親分。ちょいと女世帯ものぞいて下さいな、――親分さえそのおつもりなら、お銀さんと私との間に寝かして、一と晩中可愛がって上げますよ」
女はそんなことまでいって、八五郎の肩を押えるのです。柔かい温かい手の触感が、八五郎の若さをかきたてないわけではありません。