Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
「それじゃ、ほんの暫らくだぜ」
八五郎は腑甲斐なくも踵を返しました。
「そりゃもう一と月も一年も留めやしません。ほんの暫らく、五、六日」
「冗談いっちゃいけねえ」
家の中へ誘い込まれて、八五郎はフト立ち縮みました。それは女一人の世帯にしては、思いの外の贅沢さです。
主人の女は二十四、五でしょうか、色の浅黒いキリリとした年増で、お銀に比べると妖艶な魅力はありませんが、取りまわしの巧妙さや、調子の鮮やかさが抜群で、この女をきりょう以上に美しく感じさせます。
若いお銀が眉を落して歯を染めた元服姿なのに、主人の女はこのごろの人には珍らしい年増の娘姿で、テキパキと身なりを直すと、消炭をブチまけて、早速の一本を鉄瓶に落します。
その間にお銀が、今夜の始末を説明するのを、フンフン、と素直に聴いておりましたが、
「銭形の親分も随分卑怯ねえ。お前さんが綺麗過ぎるんで、お神さんの手前遠慮したんじゃない?」
と突っ込んだことをいうのです。
その翌る日の朝――といっても、夏の陽は真上にカンカンと照りつけて、庇の影の一番小さくなった、昼近い時分のことです。
「ヘッヘッヘッ、親分、面白いことになりましたよ」