Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
ここあたりの物が、講談の宮本武勇伝の出所らしい。僕らが幼少に見た演劇も、前述の花筏の段で演じていたことを覚えている、俗に大阪本といって貸本屋にかつがれていた岩見重太郎、丸目蔵人、塚原卜伝などの武勇伝物というのも、筋はみな大同小異、娘を助ける、狒々が出る、敵を討つ、御前試合をやる。
しかしこれがなかなか馬鹿にできない読者を持った時代があるとみえ、現在でも宮本武蔵はすでに夙く有名だが、一般民衆の中に持たれて来た宮本武蔵は、前にいった花筏の脚色と大阪本講談の脚色を一歩も出ないものであった。従って、一般民衆の概念からいえば、宮本武蔵も岩見重太郎も変るところのない同一人物なのだ、塚原卜伝も荒木又右衛門も同じ時代の人間に考えられ、服装、習俗、またその社会は、漠然と江戸中期になっていて、過去の民衆の好みどおり、男が美しくて、強くて、颯爽としていて、鎖帷子に黒羽二重、切下げ髪という拵えに出来あがっている。
しかし、こういう概念で武蔵を考えていたのは、決して低い民衆ばかりでなく、かなり知識的な人間でもまた、作家といわれる者にさえ、そういったこと以外、武蔵については知らないし、知っていても漠然と、俗説真説の両方ともあいまいに混同していた人は尠くないようである。