Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
そうかといって、雨工氏の推算で行っては、結局、小次郎は六、七十歳の老人でないと合わないことになってしまう。結局、小次郎の師富田勢源の年歴から計算することも臆測に過ぎないことになるし、また、佐々木小次郎が六十以上の老人であったりすることは、船島の試合の手口から考えて甚だおかしい。有名だからここには詳記しないが、武蔵と小次郎との試合では、試合う前に、武蔵が精神的に七分の勝ちをつかんで臨んでいる。京都で吉岡清十郎一門と試合った時にも、同様な兵法を踏んでいるが、船島でも、武蔵は小次郎を勁敵と見たので、よほど大事をとったらしい。
敵を精神的にみだしてから立ち向う。合戦ならば、その陣心に乱れを起さして鼓を打つのと同じだ。そのために武蔵は、相手を怒らせては萎し、萎しては怒らせ、再三それを繰返してからいざと太刀を取っている。
小次郎に対しては、第一にわざと約束の時を遅刻して行っている。小次郎がそれを責めると、きょうの試合は御身が負けた、といって精神的な動揺を彼に与えているし、さらに、それから悠々と支度をしたり、船中で削って来た樫の木剣を持って立ち向ったり、なお仔細に武蔵の一挙一動を見て行ったなら、すべてが、戦前に戦っているので、それに乗ぜられた形にある小次郎の敗死は何といっても手口が若い。