Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
三斎の屋敷の花苑には、四季折々の百花が嬋娟と乱れ咲いた。花好きな沢庵――彼は殊に、清冽な梅花を愛した――は、花信を得るごとにこの老友を訪れて、共に苦茗を啜り、尽きざる閑談に時を忘れた。
こころをば花あるやどにとめられて 身こそはかへれ紫の庵
草庵に帰った沢庵は、一日の和楽をしみじみと反芻しつつ、こう詠ずるのであった。
三斎は沢庵より九つ年長であった。従って道の上では、勿論沢庵に満腔の敬意を払っていたに違いないが、交誼の関係からは、幽斎の子として、また、年長の心友として、むしろ沢庵が、一歩遜り下った態度を採っていたのではないかと思う。
そして忠利に至って、祖父が宗門の麒麟児として愛し、父が心友として相許す沢庵に、道の師として畢生の敬慕を捧げたのは当然というべきである。
武器に依って権威と名誉を獲た諸大名も、天下の静謐と共に、政治家としての人間完成に心を致さないわけには行かなかった。そして、この要求に心強く応えたのが、禅僧沢庵の道力であった。
沢庵の門を熱心に叩いた諸侯としては、先に述べた柳生但馬の他、酒井忠勝、堀田正盛、板倉周防、小堀遠州、佐久間将監等が著名であるが、沢庵が最も愛したのは、細川家の卓抜な嫡孫、越中守忠利であった。