Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
入口を直ぐ右側に、絵ハガキや参詣者へのスタンプなどを備えている社務所風の家屋がある。そこを覗いてみたが誰もいないので、直ぐ彼方に見える塚のほうへ歩みかけると、その家の裏口から肩の尖った老人が、痩せた腰に袴の紐を小学生みたいに括り、朴歯の曲がった下駄をゴロゴロ運んで来ながら、私の名を呼びかけて辞儀をした。
「きょうお出でになることを新聞で見ましたのでお待ちしておりました所です」
老人は、宮本武蔵顕彰会のここの事務所に住んで、武蔵塚を守っている松尾一郎翁だった。
「どうぞ」
と、先に立つ翁に従って、私たちは墓碑に参拝した。碑は約十坪ばかりの玉石の段に囲まれ、側には巨きな樹が根瘤を張っていた。辺りは庭のように箒目が立っていて、「新免武蔵居士之塔」と仰がれる碑面の右の後ろ、木の間がくれに、阿蘇の噴煙が鮮やかに望まれる。
一郎翁の話に依ると、武蔵塚を訪う人は年々多くなっているとのことである。展墓者名簿を一眄すると、ただに剣道家ばかりでなく、遠くは布哇、朝鮮、満州などの居住者が見えるし、中でも私が目を止めたのは、
岡山県英田郡讃甘村宮本 平尾泰助
とある一名の参詣者だった。