Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
殊に「の」の字の平たくくずれている書き方など明らかに、その特徴を共通しており、ひいては、必ず近衛三藐院と武蔵とも、何らかの交渉があったにちがいないと、自分に力説されたのを聞いたこともある。だが、われわれ素人眼から直感をいえば、仮名はとにかく、その漢字には、水墨画には理想化されている温潤な彼の筆が、書法には、骨気を露わしすぎて、一種のするどさをもち、凄愴なその人の半面が、蔽いようもなく現われていると云いたい。何か、親しみ難いものを覚えさせられる。
「直指人心」の四大字がその風趣であり、「寒流帯月澄如鏡」の一行も、自ら題するごとく、戦気瀟々、肌に粟を覚えるような筆勢である。おそらく武蔵は、こういうものを書く時には、単なる書風とか文字とかいうものを見せようとして書いてはいないにちがいない。その語がいっている通り、直指人心の禅機を――また寒流帯月の剣の秘微を――その心境になり切ってただ無我の一揮墨を、紙の上へさっと落し去っているものであろう。
「春風桃李云々――」の二行は、有名な白楽天の長篇詩“長恨歌”の中の一章句である。長恨歌は、唐の玄宗皇帝とその寵姫楊貴妃との情事を歌った東洋恋愛詩中の代表的なものである。