Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Lesen Sie 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.550 Zeichen · 203 Bildschirme
裸体を恥じたのはいい。恥じることは、まさに人間らしくなる第一歩なのだから。しかし遺憾なことには、彼等は自分を見ることだけに気をとられて、すっかり神を見失ってしまったのである。「我在り」と悟ったその「我」は、神とはまったくかかわりのない我であったのである。そこで、彼等はエデンの園を追われて、棒のぼりの百足虫と同じように、不安と懐疑にみちみちた生活を、未来永劫、営まねばならなくなったのである。
自己に目覚めるのもいい。独自の道を進むのもいい。だが、その自己は、親兄弟や、隣人や、社会や、国家や、世界や、神やから、切りはなされたものであってはならないはずである。
真の意味での自己とは、過去、現在、未来のさまざまな因縁と、かたく結ばれているものなのである。もしそれを疑うならば、自分の肉体と精神との内容を、よくよく検べて見るがよい。真に自己本来のものだといいうる部分が、果してすこしでもあるだろうか。周囲との因縁を洗いおとして、そこで見出された自己、それは観念の遊戯から生まれた、実体なき幻影に過ぎないではないか。少くとも、人生という大地に根をおろした生命とは、何のかかわりもない、ひからびた、一本の棒ぎれに過ぎないのではないか。