Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Lesen Sie 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.550 Zeichen · 203 Bildschirme
そこで法眼も、とうとう黙っては置けなくなったのである。
やがて、玄則がはいって来た。彼は、法眼の眼に、ふだんとはちがった輝きがあるのに気がついたので、いくぶん警戒はしながらも、いつものとおり、落ちつきはらって座についた。
「そなたが拙僧のところに来てから、もう何年になるな。」
法眼の言葉は、案外もの柔らかであった。
「まる三年でござります。」
「ほう、もう三年になるかな。ところで、そなたが拙僧に仏法を問うたことは、まだ一度もないように思うが、如何じゃな。」
「仰せの通りでござります。」
玄則は、一見恐縮したように、それでいて、どこかに昂然たる心持をひらめかしながら答えた。
「お前は後生じゃ。それに一度も拙僧にものを訊ねないというのには、何か子細があろう。差支えなくば、聞かしてはくれまいかの。」
法眼の声は、相変らず静かであった。
「仔細といっては別にござりませぬ。ただ、おたずね致すような疑問も、別にござりませぬので……」
「ほほう。すりゃ、もうすっかり仏法を了達したと申すのか。」
「さようでござります。」
玄則は、法眼の柔らかな言葉のなかに、何か気味のわるいものを感じながらも、持ち前のきかぬ気で、きっぱりといい放った。