Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Lesen Sie 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.550 Zeichen · 203 Bildschirme
ぐらいに考えて、あまり気にもかけないでいたのでした。
ところが、ある日のこと、それは終戦後二年半、私とわかれて二年近くにもなったころのことでしたが、同君から、めずらしく一枚の葉書が来ました。それには、「近日上京、ひさびさでお目にかかり、私の近来の心境についてお教えを乞いたい」という意味のことが、簡単に記してありました。私は非常な興味をもって、その日の来るのを待っていました。
いよいよ同君がたずねて来て話したことはあらましつぎのようなことでした。
「――私は、いつか、夜襲の直前に、永久に死なないほんとうの自分というものをつかむことが出来た、というようなお話をしましたが、このごろ、それがはずかしくてならなくなりました。復員後、もうそろそろ二年半になりますが、この二年半をかえりみて見ますと、夜襲のまえにつかんだと思ったほんとうの自分は、いつの間にか消え去って、その代りに、またもとのような浮薄なものが私の心の中にのさばり出し、最近では、やはりその浮薄なものがほんとうの自分ではないか、という気になって来たのです。
それでしみじみ感じますことは、自分の力の弱さ、つまり、自分だけの力では、いくらじたばたして見たところで、自分ひとりの始末さえ出来かねるということです。