Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Lesen Sie 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.550 Zeichen · 203 Bildschirme
農夫――「お前のおやじさんは、どこで死んだのかね。」
漁夫――「海の上だよ。」
農夫――「おじいさんは?」
漁夫――「やっぱり海の上さ。」
農夫――「ふうん、お前はそれでも、今日その海の上に出て行くのか。」
漁夫――「そうだとも。ところで、お前のおやじさんはどこで死んだんだい。」
農夫――「うちの畳の上さ。」
漁夫――「おじいさんは?」
農夫――「やっぱり畳の上さ。」
漁夫――「ふうん、お前はそれでも、今夜その畳の上にねるのかね。」
この問答の勝利者は、いうまでもなく漁夫であります。といっても、それは世間普通の常識の上に立ってのことではありません。世間普通の常識では、海の上より畳の方がはるかに安全であるにきまっていますから、農夫が漁夫の身の上を気の毒に思うのがあたりまえでありまして、漁夫のいうことは、負け惜しみの逆襲に過ぎないとも考えられるでありましょう。
しかし、この問答は、おそらく宗教的な意味をもって何人かに創作されたものであり、決して単なる常識上の議論のやりとりではありません。従ってわれわれは、この問答を、生死の流れの中にあって人生に処して行くおたがいの心の問題として味わって見るべきであります。