Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lee 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 309.839 caracteres · 622 pantallas

Aozora Bunko

四

そこを、董卓の家臣たちが、背から突き、頭から斬り下げたので、車蓋まで鮮血は飛び、車の歯にも肉漿がかかって、赤い線がからまってぐわらぐわらまわって行くように見えた。

それを見た洛陽の市民はみな泣いた。また、遷都のうわさは半日の間にひろまって、聞く者みな茫然としてしまった。

夜に入ると、心なしか、地は常よりも暗く、天は常よりも怪しげな妖星の光が跳ねおどっていた。

四

「遷都だ。遷都のお触れが出たぞ」

「ここを捨てて長安へ」

「後はどうなるのだろう」

洛陽の市民は、寝耳に水の驚きに打たれて、なすことも知らなかった。

それにきのうの白昼、董相国の輦に向って直諫した二忠臣が、相国の怒りにふれて、

――斬れっ。

というただ一喝のもとに、武士たちの刀槍の下に寸断された非業な死にざまをも、市民は、まざまざと目撃しているので、

「ものをいうな」

「何もいうな」

「殺されるぞ」

と、ひたすら懼れて、不平の叫びすらあげえないのであった。

危うい哉、董卓は、天をも惧れない、また、地に満つる民心の怨みも意としない。彼は、一夜を熟睡して、醒めるとすぐ、

「李儒、李儒」

「はっ、これにいます」