Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lee 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 309.839 caracteres · 622 pantallas

Aozora Bunko

傾国

一

あなたは朝廷の大臣で、しかも名望ある家の主人だ。一体、なんでこんなに鄭重になさるのか」

「これは異なお訊ねじゃ」

王允は、酒をすすめながら、

「将軍を饗するのは、その官爵を敬うのではありません。わしは日頃からひそかに、将軍の才徳と、武勇を尊敬しておるので、その人間を愛するからです」

「いや、これはどうも」と、呂布は、機嫌のよい顔に、そろそろ微紅を呈して、「自分のようながさつ者を、大官が、そんなに愛していて下さろうとは思わなかった。身の面目というものだ」

「いやいや、計らずも、お訪ねを給わって、名馬赤兎を、わが邸の門につないだだけでも、王允一家の面目というものです」

「大官、それほどまでに、この呂布を愛し給うなら、他日、天子に奏して、それがしをもっと高い職と官位にすすめて下さい」

「仰せまでもありません。が、この王允は、董太師を徳とし、董太師の徳は生涯忘れまいと、常に誓っておる者です。将軍もどうか、いよいよ太師のため、自重して下さい」

「いうまでもない」

「そのうちに、おのずから栄爵に見舞われる日もありましょう。――これ、将軍へ、お杯をおすすめしないか」

彼は、ことばをかえて、室内に連環して立っている給仕の侍女たちへ、いった。