Clásicos japoneses con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Lee 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 309.839 caracteres · 622 pantallas
三
茶という物は、瀕死の病人に与えるか、よほどな貴人でなければのまないからだった。それほど高価でもあり貴重に思われていた。
「誰にのませるのだ。重病人でもかかえているのか」
「病人ではございませんが、生来、私の母の大好物は茶でございます。貧乏なので、めったに買ってやることもできませんが、一両年稼いでためた小費もあるので、こんどの旅の土産には、買って戻ろうと考えたものですから」
「ふーむ。……それは感心なものだな。おれにも息子があるが、親に茶をのませてくれるどころか――あの通りだわえ」
二人の役人は、顔を見合せてそういうと、もう劉備の疑いも解けた容子で、何か語らいながら立ち去ってしまった。
陽は西に傾きかけた。
茜ざした夕空を、赤い黄河の流れに対したまま、劉備はまた、黙想していた。
と、やがて、
「おお、船旗が見えた。洛陽船にちがいない」
彼は初めて草むらを起った。そして眉に手をかざしながら、上流のほうを眺めた。
三
ゆるやかに、江を下ってくる船の影は、舂く陽を負って黒く、徐々と眼の前に近づいてきた。ふつうの客船や貨船とちがい、洛陽船はひと目でわかる。無数の紅い龍舌旗を帆ばしらにひるがえし、船楼は五彩に塗ってあった。