Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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さんごくし

三国志(三)

吉川 英治

Lee 三国志(三) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 312.452 caracteres · 628 pantallas

Aozora Bunko

「上は、国へ奉じることもできず、下は、一家を保つこともできず、ただこの身ばかり安泰にある恥かしさよ……」

ひとり面をおおって、燈下に惨心を噛む夜もあった。

水は温み、春園の桃李は紅唇をほころばせてくる。

――ああ、桃の咲くのを見れば、傷心はまたうずく。桃園の義盟が思い出される。

「関羽関羽、まだこの世にあるか? 張飛はいずこにあるか?」

天空無心。

仰ぐと、一朶の春の雲がふんわりと遊んでいる。

玄徳は、仰視していた。

――と、いつのまにか、うしろへ来て、彼の肩をたたいた者がある。袁紹であった。

「ご退屈であろう。こう春暖を催してくると」

「おおこれは」

「其許にちとご相談があるが、忌憚ない意見を聞かしてもらえるかの」

「なんですか」

「実は、愛児の病も癒え、山野の雪も解けはじめたから、多年の宿志たる上洛の兵を催して、一挙に曹操を平げようと思い立った。――ところが、臣下の田豊が、儂を諫めていうには、今は攻めるよりも守る時期である。もっぱら国防に力をそそぎ、兵馬を調練し、農産を内にすすめて、坐りながらに待てば許都の曹操はここ二、三年のうちにかならず破綻をおこして自壊する。