Clásicos japoneses con furigana
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しんじゅふじん
真珠夫人
菊池 寛
Lee 真珠夫人 (しんじゅふじん) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 289.296 caracteres · 578 pantallas
美奈子は、ハラ/\した。青年が、母の言葉を、何う取るかと思うと、ハラ/\せずにはいられなかった。青年は、果してカッとなったらしかった。それかと云って、美奈子の前では、何の抗議を云うことも出来ないらしかった。
「僕! 僕! 僕は、今日は散歩に行きたくありません。失礼します、失礼します。」
それが、青年の精一杯の反抗であった。青年の顔は、今蒼白に変じ、彼の言葉は、激昂のために、顫えた。
「何故?」瑠璃子は詰問するように云った。
「何故いらっしゃらない。だって、貴君は先刻食堂で、今夜は強羅まで行こうと仰しゃったのじゃないの。今になって、よそうなんて、それじゃ故意に、妾達の感情を害しようとなさっているのだわ。」
青年は、唇をブル/\顫わした。が、美奈子の前では、彼は一言も、本当の抗議は云えなかった。
『貴女は約束と違うじゃありませんか。なぜ、美奈子さんをお連れになるのです。』それが、青年の心に、沸々と湧き立っている云い分であった。が、それを、何うして美奈子の前で口にすることが出来るだろう。
青年の、籐椅子の腕に置いている手が、わなわな顫えるのが、美奈子は、先刻から気が付いていた。