Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lee 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 309.839 caracteres · 622 pantallas

Aozora Bunko

董卓は、李儒を退けると、すぐ後堂へ入って行ったが、見ると、帳にすがって、貂蝉はまだ独りしくしく泣いていた。

「何を泣くか。女にも隙があるから、男が戯れかかるのだ。そなたにも半分の罪があるぞ」

董卓が、いつになく叱ると、貂蝉はいよいよ悲しんで、

「でも、太師は常に、呂布はわが子も同様だと仰っしゃっていらっしゃいましょう。――ですから私も、太師のご養子と思って、敬まっていたんです。それを今日は、恐い血相で、戟を持って私を脅し、むりやりに鳳儀亭に連れて行ってあんなことをなさるんですもの……」

「いや、深く考えてみると、悪いのは、そなたでも呂布でもなかった。この董卓が愚かだった。――貂蝉、わしが媒ちして、そなたを呂布の妻にやろう。あれほど忘れ難なく恋している呂布だ。そなたも彼を愛してやれ」

眼をとじて、董卓がいうと、貂蝉は、身を投げて、その膝にとりすがった。

「なにをおっしゃいます。太師に捨てられて、あんな乱暴な奴僕の妻になれというのですか。嫌なことです。死んだって、そんな辱めは受けません」

いきなり董卓の剣を抜きとって、咽に突き立てようとしたので、董卓は仰天して、彼女の手から剣を奪りあげた。