Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Lee 三国志(一) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 309.839 caracteres · 622 pantallas

Aozora Bunko

待って下さいっ」

彼方から驢を飛ばしてきたひとりの旅人は、危うく一足ちがいで、一夜を城門の外に明かさなければならない間ぎわだったので、手をあげながら馳けてきた。

最後の鼓の一つが鳴ろうとした時、からくも旅人は、城門へ着いて、

「おねがい致します。通行をおゆるし下さいまし」

と、驢をそこで降りて、型のごとく関門調べを受けた。

役人は、旅人の顔を見ると、「やあ、お前は劉備じゃないか」と、いった。

劉備は、ここ楼桑村の住民なので、誰とも顔見知りだった。

「そうです。今、旅先から帰って参ったところです」

「お前なら、顔が手形だ、何も調べはいらないが、いったい何処へ行ったのだ。こんどの旅はまた、ばかに長かったじゃないか」

「はい、いつもの商用ですが、なにぶん、どこへ行っても近頃は、黄匪の横行で、思うように商いもできなかったものですから」

「そうだろう。関門を通る旅人も、毎日へるばかりだ。さあ、早く通れ」

「ありがとう存じます」

再び驢にのりかけると、

「そうそう、お前の母親だろう、よく関門まで来ては、きょうもまだ息子は帰りませぬか、今日も劉備は通りませぬかと、夕方になると訊ねにきたのが、この頃すがたが見えぬと思ったらわずらって寝ているのだぞ。