Clásicos japoneses con furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lee 江戸三国志 (えどさんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 577.271 caracteres · 1141 pantallas
「ああ……」
と、思わず太い吐息。
「――もみましょうか」
ツイと、機敏に立ってきて、二官の肩へしなやかな指をかけますと、そのお蝶にからみついて来た糸巻が、コロコロと踊りを踊る。
二官が押しだまって煙管を持つと、
「あ、火がありませんのね」
桐の火鉢をほじッて見て、お蝶は気転よく茶の間へ戻ってゆく。
火を運んでくる。
湯のみへ茶をついですすめる。
そして、またうしろへ廻って、父の肩へつかまりながら、
「あまり根気をつめ過ぎたんでございましょう、お父さんはもう筆をもつと、御飯も忘れていらッしゃるんですもの、だから、肩がこッて気がふさいで来るはずですわ」
わざと常のように、晴れ晴れしい声でそういって、幅の広い父親の肩をしなやかな指でもみ初めました。
そしてまた肩越しに、甘える姿態をして、
「ずいぶん指に力があるでしょう――私の指。え、お父さん。利く? 利かない?」
友だちにでも話しかけるような口ぶり。
ですが、二官は常のように、うれしい顔もせず返辞もせず、邪慳にお蝶の手を振りのけると、ツイと立って縁先から藁草履をはいて家の外に出ました。
「ああ……」と、さっきの如き嘆息が、そこでも春昼をなやましげに唇から漏れて、