Classiques japonais avec furigana
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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
Lisez 野草雑記・野鳥雑記 (やそうざっき・やちょうざっき) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 144 016 caractères · 284 écrans
九
どうして笑うかと人が尋ねると、それでもあの鳥が「ととさへ、かかさへ」と啼くものをといったというのは、親のない児であったのであろう。その年麻疹を病んでその子は死んだと、真澄の奥州の紀行の中に書いてある。郭公は時鳥の雌などという俗説もあるが、これがまた同じように冥土の鳥であった。古い物語に母一人子一人、夕の山路を物淋しく通っていると、早来早来とこの鳥が啼いた。そうして心付いて見ると、背の幼な児は死んでいたという。今では我々の耳にはカッコウとばかり聞えるが、ハヤコもしくはアコという以前の語音に近かったために、特にあの鳴声を怖れていたものと思われる。他の小鳥が寝処を捜す時刻になってから、この二色の鳥ばかりが際限もなく鳴いて来る故に、憂ある者は殊に耳を欹てざるを得なかったのである。
九
それがまたちょうど昔の農民たちの間に、子供の頃聴いた爺姥の物語を、想い出す刻限でもあったのであろう。驚くばかりの沢山の昔話が、時鳥と郭公とについてのみ保存せられている。そうして広い地域に流伝して、しかもその啼声の聴きようと、これに基づくこの鳥の異名だけは、土地ごとに少しずつ変っている。