Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lisez 土曜夫人 (どようふじん) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 903 caractères · 213 écrans

Aozora Bunko

六

昨夜チマ子がライカを盗んで逃げた――そのことに関係した用件だとは、気がつかなかった。

「今、手が離せんといえ」

坂野はわざとゆっくりポンプを押していた。

「だって、警察よ」

「じゃ、留守だと言っとけ!」

「本当にそう言ってもいいの」

「警察もへちまもあるもんか」

坂野は身上相談欄で悪徳巡査のことを読んでたので、まるで自分の細君が巡査と逃げたような錯覚を起していたせいか、ふと警察への得体の知れぬ反撥を感じていたようだった。

「――用事があれば、向うからやって来まさアね。ね、木崎さん。悪いことさえしなきゃア、警察なンて、自転車の鑑札以外に用はねえや。――断っちゃえ。留守だよ、木崎三郎旦那は留守でござんす」

「あんたに言ってないわよ。木崎さん早く行ってよ。あたし叱られるわよ」

しかし、坂野がなかなか針を抜かないので、おシンは、

「――知らないよ。叱られたって」

そう言いながら、バタバタと尻を振って出て行った。

六

「あ、一寸、おシンちゃん!」

坂野のふざけた調子を面白がっていた木崎も、さすがに少しは気になって、おシンを呼び戻そうとした時は、おシンはもうチャラチャラと階段を降りていた。