Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lisez 土曜夫人 (どようふじん) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 903 caractères · 213 écrans
九
だけど、あの女のひと誰だろう」
京吉を軽蔑しながら、しかし、京吉のことをぼんやり考えていたのだ。こんな晩は京ちゃんと踊りたい。でもあたしは追い出すような口を利いたのだわ。
そんな悔恨めいた気持があっただけに、再び戻って来た京吉の言葉をきくと、陽子は思わず起ち上り、日頃の勝気な天邪鬼の手がもはや一皮むけば古い弱い女の手になって、
「どうしたの、京ちゃん、おかしい人ね」
ついぞこれまで、どんな男にもあけなかったドアをあけた。
九
「あら、京ちゃん一人……?」
女のひとと一緒じゃなかったの――と、陽子は京吉がはいったあとのドアを、わざと閉めずにきいた。
「帰っちゃったよ」
陽子の所はむろんはじめてだが、ほかの女のアパートには泊り馴れているせいか、京吉はキョロキョロ部屋の中を見廻したり、坐る場所を探したりせず、いきなり鏡台の前へ坐ると、雨に濡れた靴下を脱ぎながら、呟くように、
「――考えてみれば、あの女は……」
「京ちゃんの恋人なんでしょう……?」
陽子はドアを閉めて、京吉の傍へ来た。京吉一人だと知って、何か割り切れぬ想いがなくなったのと同時に、女と二人だから泊めるのだという自分へのいいわけもなくなり、わざとドアをあけていたのだが、しかし、何だか京吉を警戒してあけているような気が、ふと陽子の自尊心を傷つけたのだろう。