Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lisez 土曜夫人 (どようふじん) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 903 caractères · 213 écrans
けろりとした顔のようだった。が、声はキンキンと、
「何かご用……?」
「ううう? うん」
口ごもったが、いきなり京吉は手を出して、
「――金かしてくれ。おれ宿屋へ泊る金ねえんだよ。掏られたんだよ」
こんなに遅くなると、もう田村へ帰るのが怖かったのだ。陽子はハンドバッグを投げ出して、
「いるだけ、持ってらっしゃい」
「恐れ入りやの……」
京吉はもう軽薄な口調になって、ハンドバッグから百円札を一枚抜きかけたが、ちょっと思案して、
「――じゃ、これだけ借りるよ」
三百円手につかむと、陽子がふっと微笑したくらい無邪気な表情を残して、出て行った。
そして河原町通りへ出ると、空の人力車がすれ違った。宿屋へ連れて行けといったが、車夫は、もう遅いから、宿屋はだめだ、それより安く飲ませて泊める家があるからと、一人ぎめの方角へ走り出した。
途中、土砂降りの雨の中を濡れて歩いている女にすれ違った。芳子ではないかと思ったが、ひと違いだった。
警察署の近くまで来ると、京吉は道端にたたずんでいる五十男の顔を見て、おやっと思った。田村で見たことのある銀造だった。銀造は車夫の顔を見ると、急にほっとした顔で、笑いかけて来た。