Classiques japonais avec furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lisez 土曜夫人 (どようふじん) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 903 caractères · 213 écrans
一つには、京吉が命令するように停めたということへの、天邪鬼の反撥が、陽子の足を田村へ向けたのだ。
しかしまた、それと同じ天邪鬼が、田村へ行く時間を出来るだけ伸ばして、春隆を待たせてやろうという気持を、ふと起させた。
「お願いです。誰にもおっしゃらないで……」
と、思わず哀願したホールでの、みじめに狼狽した自分をそのまま持って行きたくなかったのだ。必ず来るという春隆の自信にも一応反撥したかったのだ。待たせる方が有利だという、女特有の本能も無意識に働いていた。
だから陽子は十番館を出た足で、まず近くのすし常という店へわざわざ寄って行った。
すし常の主人は変った男で、毎晩ホールへ行ってラストまで踊り、帰ってからそろそろ店をあけて、すしを握るのだが、準備に暇が掛るので、ホール帰りのダンサーがわざと遅く行っても、大分待たされる。しかし、やはりダンサーの常連が多いのは、この店の主人からチケット代りに無料でくえるすし券を貰うからであろう。
やっとすし常を出ると、陽子は田村へ行ったが、案内されてはいった時の春隆の部屋は、煙草のけむりが濛々として、待たせた時間の長さを思わせていた。