Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans

Aozora Bunko

お前のお母さんを、呼んでやろうか。」

「もういい、あなたが傍にいて下されば、あたし誰にも逢いたかない。」と妻はいった。

「そうか、じゃ、」と彼はいって直ぐ彼女の母に来るようにと手紙を書いた。

八

その翌日から妻の顔は急に水々しい水蜜のような爽かさを加えて来た。妻は絶えず、窓いっぱいに傾斜している山腹の百合の花を眺めていた。彼は部屋の壁々に彼女の母の代りに新しい花を差し添えた。シクラメンと百合の花。ヘリオトロオプと矢車草。シネラリヤとヒアシンス。薔薇とマーガレットと雛罌粟と。

「お前の顔は、どうしてそう急に美しくなったのだろう。お前は十六の娘のようだ。お前はいっぱいのスープも飲まないくせに、まるで鶏の十五、六羽もやっつけたような顔をしている。不思議な奴だ。さては、俺の知らぬ間に、こっそりやったと見えるな。」

「あの百合の花を、この部屋から出して。」と妻はいった。

百合の匂いは他の花の匂いを殺してしまう。――

「そうだ、この花は、英雄だ。」

彼は百合を攫むと部屋の外へ持ち出した。が、さて捨てるとなると、その濡れたように生き生きとした花粉の精悍な色のために、捨て処がなくなった。