Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans

Aozora Bunko

八

しかし、寂寞とした広間の中で彼の見たものは、御席の上に血に塗れて倒れている父の一つの死骸であった。

「ああ、父よ。」

彼は楯と弓とを投げ捨てて父の傍へ馳け寄った。彼は父の死の理由の総てを識った。彼は血潮の中に落ちている父の耳を見た。

「ああ、父よ、我は復讐するであろう。」

彼は父の死体を抱き上げようとした。と、父の片腕は衣の袖の中から転がり落ちた。

「待て、父よ、我は爾に代って復讐するであろう。」

訶和郎は血の滴る父の死体を背負うと、馳せ違う兵士たちの間をぬけて、ひとり家の方へ帰って来た。

やがて、太陽は落ちかかった。そうして、長羅を先駆に立てた奴国の軍隊は、兵部の宿禰の家の前を通って不弥の方へ進軍した。訶和郎の血走った眼と、香取の泣き濡れた眼とは、泉の傍から、森林の濃緑色の団塊に切られながら、長く霜のように輝いて動いて行く兵士たちの鉾先を見詰めていた。

八

不弥の宮には、王女卑弥呼の婚姻の夜が来た。卑弥呼は寝殿の居室で、三人の侍女を使いながら式場に出るべき装いを整えていた。彼女は斎杭に懸った鏡の前で、兎の背骨を焼いた粉末を顔に塗ると、その上から辰砂の粉を両頬に掃き流した。