Classiques japonais avec furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans
二十一
二十一
夜が深まると、再び濃霧が森林や谷間から狩猟の後の饗宴に浮れている耶馬台の宮へ押し寄せて来た。場庭の草園では、霧の中で焚火が火の子を爆いて燃えていた。その周囲で宮の婦女たちは、赤と虎斑に染った衣を巻いて、若い男に囲まれながら踊っていた。踊り疲れた若者たちは、なおも歌いながら草叢の中に並んだ酒甕の傍へ集って来た。彼らの中の或者たちは、それぞれ自分の愛する女の手をとって、焚火の光りのとどかぬ森の中へ消えていった。王の反耶は大夫たちの歓心に強いられた酒のために、だんだんと酔いが廻った。彼は卑弥呼の部屋の装飾を命じた五人の使部に、王命の違反者として体刑を宣告した。五人の使部は、武装した兵士たちの囲みの中で、王の口から体刑停止の命令の下るまで鞭打たれた。彼らの背中の上で、竹の根鞭の鳴るのとともに、酒楽の歌は草園の焚火の傍でますます乱雑に高まった。そうして、遠い国境の一つの峰から立ち昇っている噴火の柱は、霧の深むにつれて次第にその色を鈍い銅色に変えて来ると、違反者の背中は破れ始めて血が流れた。彼らは地にひれ伏して草を引きりながら悲鳴を上げた。反耶は悶転する彼らを見ると、卑弥呼にその体刑を見せんがために彼女の部屋の方へ歩いていった。