Classiques japonais avec furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans
」
「兄よ。不弥の女と行くものは我である。」と反絵はいって遣戸の傍から反耶の方を振り返った。
「行け、使部の罪を赦すのは爾である。」
「不弥の女、我と共に酒宴に出よ。」反絵は再び卑弥呼の傍へ戻って来た。
「王よ、我を酒宴に伴うことをやめよ。爾は我と共に我の部屋にとどまれ。」
卑弥呼は反耶の手を取ってその傍に坐らせた。
「不弥の女、不弥の女。」
反絵は卑弥呼を睨んで慄えていた。「爾は我と共に部屋を出よ。」
彼は彼女の腕を掴むと部屋の外へ出ようとした。
反耶は立ち上って曳かれる彼女の手を持って引きとめた。
「不弥の女、行くことをやめよ。我とともにいよ。我は爾の傍に残るであろう。」
反絵は反耶の胸へ飛びかかろうとした。そのとき、卑弥呼は傾く反絵の体躯をその柔き掌で制しながら反耶にいった。
「王よ、使部の傍へわれを伴え、我は彼らを赦すであろう。」
彼女は一人先に立って遣戸の外へ出て行った。反絵と反耶は彼女の後から馳け出した。しかし、彼らが庭園の傍まで来かかったとき、五人の使部は、最早や死体となって土に咬みついたまま横たわっていた。兵士たちは王の姿を見ると、打ち疲れた腕に一段と力を籠めて、再び意気揚々としてその死体に鞭を振り下げた。