Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

にちりん

日輪・春は馬車に乗って 他八篇

横光 利一

Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans

Aozora Bunko

「王子、王子。」

彼女は跪拝いて小声で長羅を呼んだ。彼女の声はその気高き容色の上に赧らんだ。しかし、長羅は依然として彼女の前で眠っていた。彼女は再び膝を長羅の方へ進めて行った。

「王子よ、王子よ。」

すると、突然長羅の半身は起き上った。彼は爛々と眼を輝かせて、暫く部屋の隅々を眺めていた。そうして、漸く跪拝いている香取の上に眼を注ぐと、彼の熱情に輝いたその眼は、急に光りを失って細まり、彼の身体は再び力なく毛皮の上に横たわって眼を閉じた。香取の顔色は蒼然として変って来た。彼女は身を床の上に俯伏せた。が、再び弾かれたように頭を上げると、その蒼ざめた頬に涙を流しながら、声を慄わせて長羅にいった。

「王子よ、王子よ、我は爾を愛していた。王子よ、王子よ、我は爾を愛していた。」

彼女は不意に言葉を切ると、身体を整えて端坐した。そうして、頭から静かに、玉鬘を取りはずし、首から勾玉をとりはずすと、長羅の眼を閉じた顔を従容として見詰めていた。すると、彼女の唇の両端から血がたらたらと流れて来た。彼女の蒼ざめた顔色は、一層その色が蒼ざめて落つき出した。彼女の身体は端坐したまま床の上に傾くと、最早や再びとは起き上って来なかった。