Classiques japonais avec furigana
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にちりん
日輪・春は馬車に乗って 他八篇
横光 利一
Lisez 日輪・春は馬車に乗って 他八篇 (にちりん) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 86 787 caractères · 177 écrans
数名の斥候が川上と川下から派出された。長羅は一人高く馬上に跨って対岸を見詰めていた。川には浅瀬が中央にただ一線流れていた。そうして、その浅瀬の両側には広い砂地が続いていた。
夜は次第に降りて来た。対岸の芒の波は、今は朧ろに背後の山の下で煙って見えた。その時、突然対岸からは銅鑼がなった、すると、尾に火をつけられた一団の野牛の群れが、雲のように棚曳いた対岸の芒の波を蹴破って、奴国の陣地へ突進して来た。奴国の兵は野牛の一団が真近まで迫ったときに、一斉に彼らの群へ向って矢を放った。牛の群は鳴き声を上げて突き立つと、逆に耶馬台の陣地の方へ猛然と押し返した。奴国の兵は牛の後から対岸に向って押し寄せようとした。しかし、長羅は彼らの前を一直線に馬を走らせてその前進を食いとめた。と、斉しく野牛の群は、対岸から放たれ出した矢のために、再び逆流して奴国の方へ向って来た。それと同時に鯨波の声が対岸から湧き上ると、野牛の群れの両翼となって、投げ槍の密集団が、砂地を蹴って両方から襲って来た。奴国の兵は直ちに川岸に添って長く延びた。そうして、その敵の密集団に向って一斉に矢を放つと、再び密集団は彼らの陣営へ引き返した。