Classiques japonais avec furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lisez 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) de 橘 外男 (たちばなそとお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 198 400 caractères · 387 écrans
やがて曲者は、博士のしゃがんでいる池のむこうがわを、いま博士がでてきた非常口のほうへと、ちかづいていくようです。必死にみはっている博士の目に……いいえ、目というよりも、その心の感じに、いま曲者が非常口の戸に、手をかけているようにみえました。
「しまった?」
と、おもわず博士は胸をとどろかせました。
戸はしめてあっても、心張棒をかっていないその非常口は、もし曲者が手をかけたがさいご、スルスルとあいてしまうでしょう。しかも曲者は、その非常口のまえにすいつけられたように、うごかないのです。
博士はかたずをのみました。
と、とたんにやはり曲者は、かんで戸じまりのしてないのに気づいたものか、ゴトゴトやっているなと思っているうちに、スーッと重い杉戸が開きはじめました。
もう、猶予はできません。戸があいたがさいご、そのスグとなりの寝室には、頼子が雇人と遠くはなれて、ただひとりでふるえているのです。どんな危険がおこるかもわかりません。
博士は、いつ、どうしてそこまでかけよっていったか、じぶんにもおぼえがありませんでした。
「き、貴様! なにをするのか!」
と、さけんで、はげしいいきおいで樫の棒をうちおろしました。