Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たまものまえ

玉藻の前

岡本 綺堂

Lisez 玉藻の前 (たまものまえ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 703 caractères · 261 écrans

Aozora Bunko

相手があまりにも落ち着き払っているので、実雅はすこし気味が悪くなって、無言のままで突っ立っていると、玉藻は重ねて言った。

「かたきを仕留められたのは男の面目、見事にも立派にも見えまするが、これからのちを何とせられまする。相手を殺して卑怯にも逃げられますまい」

星をさされて、実雅は又ぎょっとした。彼は太刀を鞘に収めるすべも知らないように、唯ぼんやりと立っていた。

「お身さまも男じゃ、少将どのじゃ。仇の亡骸を枕にして見事に自害なされませ」と、玉藻は命令するように言った。

この怖ろしい宣告を受けて、実雅は我にかえった。しかし彼はその命令に服従する気にはなれなかった。どうで自分の物にならない女ならば、いっそここであわせて玉藻を殺して、後日の口をふさぐ方が利益であると、彼は咄嗟のあいだに思案を決めた。彼はなにか言おうとするように見せかけて、玉藻のそばへひと足摺り寄ると同時に、手に持っている太刀を颯とひらめかせると、刃は空を切って玉藻の姿は忽ち消えた。おどろいて見廻すと、玉藻は彼の左に肩をならべて笑いながら立っていた。

実雅はまた横に払った。その刃もおなじく空を切って、玉藻は更に彼の右に立っていた。