Classiques japonais avec furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lisez 玉藻の前 (たまものまえ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 703 caractères · 261 écrans
「あの乙女のあとをつけて、いずこの何者か見とどけてまいれ」
青侍を出してやって、師道は再び料紙を手に取って眺めた。容貌といい、手蹟といい、これほどの乙女が地下の者の胤であろう筈がない。あるいは然るべき人の姫ともあろう者が、このようないたずらをして興じているのか。但しは鬼か狐か狸か。彼もその判断に迷っていると、日の暮れる頃になって青侍が疲れたような顔をして戻って来た。
「殿。あの乙女の宿は知れました」
「おお、見とどけて参ったか」
「京の東、山科郷の者でござりました。あたりの者に問いましたら、父はそのむかし北面の武士で坂部庄司なにがしとか申す者じゃと教えてくれました」
「北面の武士で坂部なにがし……」と、大納言は眼をとじて考えていたが、やがて思い出したように膝を打った。「おお、それじゃ。坂部庄司蔵人行綱……確かにそれじゃ。彼は大床の階段の下で狐を射損じたために勅勘の身となった。その後いずこに忍んでいるとも聞かなんだが、さては山科に隠れていて、藻は彼の娘であったか。親にも生まれまさった子を持って、彼はあっぱれの果報者じゃ」
藻が父の名をつつんだ子細もそれで判った。