Classiques japonais avec furigana
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たまものまえ
玉藻の前
岡本 綺堂
Lisez 玉藻の前 (たまものまえ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 130 703 caractères · 261 écrans
何かにつけてお前のことを悪う言う。ほんにほんに憎い奴じゃ。今もお前が髑髏を頭に乗せていたの何のと、見て来たように言い触らしてわしをなぶろうとしいる」と、千枝松はうしろを見返って罵るように言った。
藻は案外におちついた声で言った。
「あの婆どのもお前がいうように悪い人でもない。わたしが髑髏を持っているところを、婆どのは確かに見たのであろう。その訳はこうじゃ。このあいだの晩、わたしが枕にしていた白い髑髏はどこの誰の形見か知らぬが、わたしの身に触れたというも何かの因縁じゃ。回向してやりたいと思うて持ち帰って、仏壇にそっと祀って置いたを父さまにいつか見付けられて、このような穢れたものを家へ置いてはならぬ。もとのところへ戻して来いと叱られたが、あの森へは怖ろしゅうて二度とは行かれぬ。おまえに頼もうと思うても、あいにくにお前は見えぬ。よんどころなしにあの川べりへ持って行って普門品を唱えて沈めて来た。となりの婆どのは丁度そこへ通りあわせて、わたしが髑髏を押し頂いているところを見たのであろう。訳を知らぬ人が見たら不思議に思うも無理はない。婆どのはお前をなぶろうとしたのではない。