Classiques japonais avec furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lisez 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 141 786 caractères · 278 écrans
がよく遊んだことだの、勝海舟が行って仮名書の横額に「なんでもない事」と書いていることだの、また、昔はそこの鐘銭というものを取って、上野を中心に刻の鐘が聞える江戸の何町四方の町家から、その鐘銭を取立てて暮していた家だとか、いろいろ面白いはなしを聞かされたので、そんな所に伝来する画だったらと、ちょっと見たい気持を起していたところ、昨年になって、その鐘撞堂の所蔵品の古書画古陶器の類がすこし売りに出されたとのことに、一見する機会に恵まれたわけだった。
表具も古い仕立のままで今日まで手入れをした跡はない。半切幅のやや短目な紙中で、一展してゆくと、題詩が書いてあった。
画は、朱衣を着た「祖師像之図」である。その達磨大師の右の足もとに、印章が一箇捺してある。かつて、真物にも偽物にも、見たことのない角印で、宮本二天之印とある。
私はまずこれに面くらった。見当がつかないのである。およそ偽物の画というものには、必ず前例ある実物の偽印が用いられてある。殊に、武蔵の印章には、鼎とか、香炉とか額形とか、一定しているくらいな種類しか見うけられないので、ほとんどその範囲に限っているのが、これに依ると、大胆なそして素朴な印がべたと一つ捺してある。