Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Lisez かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 006 caractères · 182 écrans

Aozora Bunko

「わからないわ、私には」

「おっ母あ、何と言ったんだっけ。――死ぬ時に」

「あやまっていたわ」

「どうして謝るんだろう。自分の子供へ」

「よしてよ……」

「また泣くの。泣虫」

「自分だって、泣いたくせに」

汽車は、疾風を衝いていた。

トムは、ちらと窓外をのぞいた。

「あ、もう横浜は見えねえな」

「そんなことば、やめてよ」

「おまえ、もうお嬢様になッちまったのか。早えなあ」

と、少し浮かない顔で、

「菊ちゃんは、華族のお嬢様が似合うよ。だが、おいらは嫌いだ。金持もきらいだし、華族様もきらいだ。……ああ、おっ母アが生きていれやいいのになあ。おっ母アとなら、一生でも、かんかん虫をしていた方がいい」

「よしてよ、そんなことば。トムさんが、かんかん虫をしていたことなんか、これからは言わない方がいいのよ。千歳の女将さんも言っていたわ」

轟音が変った。汽車は、ひとつの川をうしろにしていた。

「おら、帰ろう!」

「どこへ、兄さん」

「菊ちゃん、あばよ」

トムはふいに、そばにあった帽子をつかんで扉の外へ駈けだした。あッと、豆菊と付添の二人が、窓を開けたとたんに、トム公の矮短なからだは、激流する空気の震音の中を、もんどり打って、線路堤から沼地らしい蘆のなかに振り飛ばされていた。