Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かんかんむしはうたう

かんかん虫は唄う

吉川 英治

Lisez かんかん虫は唄う (かんかんむしはうたう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 006 caractères · 182 écrans

Aozora Bunko

髪結が帰る。洋服の着付師のお定さんが来る。理平は、万年青展覧会ほどある屋上庭園から降りて来て、ちょっと、店へ顔を出して、金庫の鍵を鳴らしながら奥へ引っこむ。

午後四時――やっと女中が馬車会社へ電話をかけている。夫人お槙は、かつらのように夜会巻に結って、居留地仕立の洋装に開化人のあらゆる粧いを凝らし、バイオレットの香液を咽せるほどふりかけて、金春時代の全盛さを、ちょっと理平の眼に偲ばせた。奈都子はまた、きのうとは下から帯まで色彩を変えた裾模様に、白金と宝石のかがやきを歩身から撒き散らして、フロックコートの伯父を中に挟んで、馬車へ乗った。

夕風を切って、馬車のムチは鳴る。

赤塗の轍はれきろくと関内の文化街を真っすぐに疾走した。前の台に胸を張って、二頭の馬を操りながら、辻々の人を避けさせてゆく馭者の鞭振りを眺めつつ行くことは、彼女たちに快い誇りを満たした。長い点火器の棒を持って飛ぶ瓦斯燈夫や、石油罐とキャタツを腕にかけた軒燈屋が、縦横に町を駈けて、町の夜を華やかせてゆく。

「あらっ?」

うしろの幌が、ばり、ばりッ、といったのでお槙も奈都子も、同じ姿態をして、振り向いた。