Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lisez 五瓣の椿 (ごべんのつばき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 149 721 caractères · 296 écrans
しかしおしのはその寒さにも気づかず、おたみが呼びに来るまで、独りでじっと坐っていた。おたみは襖の外から呼びかけ、返辞がないので襖をあけた。
「いらしったんですか」とおたみが云った、「旦那がお呼びです」
おしのはゆっくりと女中を見た。
「旦那が眼をおさましになったんです」とおたみは云った、「そしておしのさんはどこにいるかって」
おしのは夢からさめでもしたように、ああと声をあげて立ちあがった。
喜兵衛の枕許には手代の忠三がいて、喜兵衛がなにか云うのを、のり出すような恰好で聞いていたが、おしのと入れ替りに店のほうへ出ていった。喜兵衛はおしのを見ると、安心したように頷き、そして眼をつむった。おしのは坐って、気分はどうかと訊いた。喜兵衛は暫く経ってから、力のない低い声で「大丈夫だ」と云った。
「心配しなくてもいい、大丈夫だ」と喜兵衛は云った、壁の向うから聞えて来るような声であった、「同じことを云うようだが、私は大丈夫だ、こんなことで死にはしない、参得さんにはわからないんだ」
「ごしょうよ、そんなに話をしないで」
「これだけ云っておきたいんだ」と喜兵衛は眼をつむったままで云った、「私は夜なかに倒れてからのことを、みんな知っている、気を失ったのはほんの僅かなまで、それからちょっと眠ったときのほかは、なにもかも知っている、もうどんな