Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Lisez 土曜夫人 (どようふじん) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 903 caractères · 213 écrans

Aozora Bunko

橋のたもとの街燈は、ガス燈のように青白く冴えて、柳の葉に降り注ぐ光の中を、小さな虫が群がって泳いでいた。陽子はトラックの上からふっとそれをながめた途端、気の遠くなるような孤独を感じた。

加茂川のせせらぎの単調なあわただしさは、何か焦躁めいた悔恨の響きを、陽子の胸に落していたが、やがてそれがエンジンの騒音に消されて、トラックが動き出した。

橋を渡ると、急にカーブした。途端に陽子は茉莉を想い出した。

陽子がダンサーになったのは、茉莉と知り合ったからであった。しかし、直接の動機はロマンティックなものではない。実は、家出して京都で宿屋ぐらしをしているうちに、二月の金融非常措置令の発表という殺風景な事情が、陽子をダンサーにしたとも言えよう。

家の方へは行先を隠し、また京都では素姓を隠す必要上、陽子は転入証明も配給通帳もわざと持って来なかった。だから、旧円を新円に替えることも、通帳から生活資金を引き出すことも出来なかった。旧円流通の期限が来ると、宿賃はおろか電車にも乗れないと、陽子は狼狽した。

新聞には、鉱三の封鎖反対論が出ていた。陽子は身にしみて同感だったが、しかし、一月前の父は、インフレ防止のためには封鎖策よりほかにないと、会う人毎に喋っていた筈だ――と想い出すと、一徹者だった父も選挙の成績をよくするためには